お店の紹介

屋根には善三さんが62年前に故郷の新潟からよく乾燥させた杉の木を運び込み、大工も同じく新潟から呼び寄せて建てた前身の姿がそのまま残る。今では珍しい合掌造り。既存の古材と山翠舎が見立てた古材がしっくり溶け合った空間に仕上がった。
■老舗の風格が漂っていますね。

ありがとうございます。当店は昭和27年に創業した手作りの漬物屋です。62年前に先代が建てた木造のお店を大改装しました。前回の改装から約20年。ここまで大規模に手を入れたのは今回が初めてです。

■改装に踏み切った理由は?

以前のお店はエアコンもなく、暑くて寒くて、看板の漬物にも、働く人にも、お客様にも優しくない環境でした。どうにか改善したいと思いながら過ごしていましたが、当初はここまで大きな改装は考えていませんでした。

でも数年前に、山翠舎さんが改装を手掛けた同じく板橋区の総菜店「小島屋」さんが商店会でいつもお世話になっている方で。小島屋さんの 素晴らしい変身ぶりを目の当たりにして「うちも…!」と触発されたことが大きなきっかけになりました。

■改装にあたってのご希望内容は?

家族会議の結果「これだけは」という10項目を決めました。

①坂井善三商店にしか出来ない当店ならではの改装に。
②創業62年の歴史を活かす。
③善三自慢の建物を活かす。
④お客様にゆったりとくつろいでいただけるスペースに。
⑤良い使徒とが出来る、従業員にとっても快適で優しいお店に。
⑥スムーズに動けて、美味しい漬物が創れる快適な厨房を。
⑦せっかくやるのだからヤッター!と思える様なカッコいい改装に。
⑧漬物屋らしい造りに。
⑨大正ロマンではなく昭和レトロ。
⑩楽しい仕掛けや遊び心のある改装に。

■ご家族での話し合いを大切にされたのですね。

はい。後になって、ホントはこうしたかったとか、聞いてないよとか、ぎくしゃくすることがないように、思っていること、感じていることをできる限りお互いに伝えあいながら計画しました。
■内装で特にこだわった箇所は?

古さと新しさのいいとこどりをした昭和レトロな全体イメージにもこだわりましたし、すべてですね。

丸窓がアクセントの入口の建具やショーケースの上の欄間風の窓わく、小上がりしかり、ひとつひとつ自分たちのイメージに合った写真を本や雑誌、ネットで探しては家族で話し合って…という繰り返しでした。山翠舎さんとの打ち合わせも何回したかわからないくらい沢山しました。

■小上がりの上空にしつらえた秘密基地みたいな部屋が気になります。

気になりますよね(笑)。お客さまにもよく尋ねられるのですが、来年年明けまで非公開の、私たちにとっては大切な空間なんです。なので、すみません、今日はそこだけはまだ撮影しないでください。特別な顧客様だけが上がれる場所にしようか?など色々と企画を練っている最中なんです。

■ワクワクしますね!公開されたら、また来ます。


■改装後のお店で過ごされていかがですか?

なによりも、先代(坂井善三さん・85歳)が一気に若返ったことに驚いています! 改装前は週3回のデイサービスに通う他はテレビを見るか寝るかしかできない体だったのですが、改装したとたん、毎日のように店に顔を出し、車いすから降りて小上がりにシャンと座って「いらっしゃいませ!」と接客するようになったんです。昔馴染みのお客様との雑談も最高のリハビリになっているようです。

先代が建てた店の名残りは高天井や柱にしっかりと残っているので、また新たに生まれ変わったお店の姿も気に入ってくれているようです。

■お客様のご感想はいかがですか?

「地元の中板橋に似合わないほどお洒落」とか「まるで小京都」などと褒めていただいています!

漬物を肴にここでお茶やお酒を飲みたいというリクエストも少なくありません。

また、看板に「漬物」の文字を一切出していないので甘味処や蕎麦屋と間違えて入店される方もいます。若い方の興味もよく引いて、外観の雰囲気に惹かれてふらりと立ち寄られる新規のお客様も増えました。

■ありがとうございました。

関係者の声

お茶と試食のための畳敷小上がり、演出を兼ねての中二階など「京都の漬物屋さん」をイメージしたお店です。売場面積は5坪弱と決して広くはないお店ですが、既存の天井を撤去し、小屋組みの天井の梁部を表したことにより空間が広がり狭さを感じさせません。