中学2年生のときにパティシエになることを決めた秋元孝与さん。

自身が生まれ育った横浜市戸部の自宅を改装し、駅から少し離れた住宅街の中に2019年の10月に洋菓子屋を開きました。

地元横浜の中小企業や商店とコラボし、地域の繋がりから生まれる洋菓子屋さんを経営しています。

 

なぜ地元中小企業との繋がりなのか? そこには地産地消が当たり前になった時代、

次にやるべきこととしての秋元さんの想いがあります。

 

デザイン施工にはご自身のラッキーカラーという黄色を反映。そんな秋元さんに、お店や地域への想いなどを伺ってきました。

(2020年3月23日 取材)

— どんなコンセプトのお店ですか?

まず一番には地域密着型の洋菓子屋さんにしたいっていうのがあって。

私が生粋のハマっ子なので、横浜の企業さんとのコラボとか小さい商店との繋がりを大切にしながらやりたいなあと思って、地元の胡麻油屋さんの練り胡麻を使ったりとかしてます。

 

そういう情報発信もしながら、地元の素材でできる洋菓子屋さん。

 

洋菓子屋さんっていうと、構えて来られる方が多いんですけど、日常的な感覚で来られるような洋菓子屋さんを目指したいなと思ってやってます。

— どんな経緯でパティシエになり、ご自身のお店をオープンされたんですか?

高校を卒業して横浜の専門学校で製菓を2年間学んで。

そのあと横浜市内のデパ地下系の工場へ行って、そのあとブライダルの専属パティシエの仕事をして、そして個人店で働いて、イタリアンレストランのドルチェ担当をして。

 

それからフランスに一年だけ修行に行って。

帰国してからは商品開発の仕事を7、8年。

問屋なんですけど、市場の流れとかマーケティングも含めてコンセプトを立てて、「こういうのどうですか」っていうのを提案する仕事をやらせてもらって。

 

そのときに原料の勉強とかメーカーとの繋がりもできて、初めから自分のお店を持とうっていう気持ちがあったので、

じゃあそろそろっていうのでお店を出したっていう感じですね。

— ずっと横浜なんですか?

そうですね。

ここが私の地元なので。フランスに行った以外は、ずっと横浜を選択してやってましたね。

— 一回、別業界に就職してっていうわけではなくて、ずっと製菓をやられてきたんですね。

中学時代からパティシエになるって決めてたので。

 

両親が床屋をやってるので、お店を持つっていうことに違和感がないっていうか、それが普通って思って育ったので。

最初はファッションデザインをやりたいって思って、服飾も料理もお菓子もやってたんですけど、中学生の時にお菓子づくりの方が楽しくなっちゃって、これを仕事にしようっていうので、中2ぐらい時に決めて。

— へえ、早いですね。

ー山翠舎に内装を頼んだきっかけはどういう経緯で?

テレビ番組で山翠舎さんが特集されているのを見て、

そのときに古木の使い方とかコンセプトですね、

古いものを大切にして新しいものをっていうのがすごいいいなって思って。

いつか独立する時にはここに頼んでみたいなってずっと思ってたので。

 

独立のため物件を探してたんですけど、なかなかいいものがなくて。

もともと中学時代まで住んでた家だった、ここを「使いたい」っていうことで父に話したらOKだったので。

近くに公園もあるし、木を活かせたほうがいいだろうなと思って山翠舎さんにお願いしました。

— 実際こうしてご自身のお店ができたわけですけど、こだわったポイントはどこですか?

山翠舎さんにお会いした時に、私がすでにコンセプトシートみたいなものを作って、入り口正面の壁の色は私のラッキーカラーの黄色がいいとか、「これにしたいです」って(笑)。

 

それをデザイナーの難波さんが清書してくれた感じなんですけど。

そこにいろいろ、表に古木を一本立てようとか、難波さんのアイデアも入れてくれて、こういう感じに仕上がりました。

— 秋元さんの作るお菓子の個性っていうと、どんなところにありますか?

着飾らずシンプルなんですけど、問屋で働いていた時の知識で、原料の選び方とか、シンプルに見えて意外と中身は複雑っていうのが私のケーキの特徴かなって思います。

— ここが自宅だったのも理由にあると思いますが、駅から(お店まで)それなりに距離がありますよね。それでもここでオープンしようって思った理由っていうのは?

ここらへん、ケーキ屋さんがないんですね。

桜木町へ行けば、有名なケーキ屋さんとかもあるんですけど、どうしてもこの辺りは、洋菓子が身近ではない地域なんです。

 

そういう意味で、洋菓子屋さんが自分が生活している街に一つあったら、みんなもそこでケーキを買って家族団欒とかできますよね。

街にぽこっと洋菓子屋さんが一つあれば、ちょっと楽しい時を提供できるし、

それは駅前とか表に面した場所でなくても一緒かなあって。

最初はちょっと悩みましたけど、ここで自分のやりたいことができるんだったらっていうので踏み切りました。

— これからどんなお店にしていきたいですか?

地域の方に喜んでいただける洋菓子屋さんになれるのが一番だと思ってます。

 

地域の企業さんとコラボするのも、うちのお菓子に興味を持ってもらえたら、その企業さんにも行ってもらえるっていうのがあって。そういうふうに地域が横で繋がって強くなっていけたらなって。

 

地産地消っていうのはよく言われるんですけど、それの中小企業版っていうのができたらいいなっていう想いですね。

地産地消はもう普通で、じゃあ次に何があるのかっていうと、そこなのかなって。

 

— 確かに地産地消はよく聞きますけど、地元の中小企業と洋菓子屋さんで展開してっていうのは面白いですね。

私自身、地元の企業がこれを作っているっていうのを知っていくのが面白かったんです。

それを地域の人にも伝えて味わってもらえたら。またそこからその企業さんにも興味を持ってもらって。それでちょっと地域が豊かになったらいいいなあって思ってやってます。

 

— 今日はありがとうございました。